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『羽生善治 考える力』感想



『羽生善治 考える力』別冊宝島編集部編の感想

羽生善治 考える力 (宝島社文庫)羽生善治 考える力 (宝島社文庫)
(2011/10/06)
羽生 善治

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 本書は、2009年11月に同名で刊行された本を改訂・編集して文庫化したもの。
 羽生三冠のこれまでの活躍やエピソード、観戦記者や米長・中原から見た「羽生善治」
という人間像、将棋観が書かれている。羽生本人のインタビューは少ないが、彼に近い
将棋界の人間から見た「羽生善治」が分かるのが興味深かった。
 1年前くらいに偶然本屋で見つけて買ったのだが、棋譜こそあまり載っていないものの、
羽生ファンは読んで損のない一冊になっていると思う。観る将棋ファンには、とても読み
やすい本だろう。文庫化して通勤・通学などで一層読みやすい!
 章立ては、1章から3章まで。第1章の「羽生の考え」では、羽生三冠のインタビュー
を含め、羽生三冠の将棋上達法や、修行時代の話が載せられている。第2章は「私と羽生」
と題し、米長永世棋聖、中原十六世名人や、観戦記者の二人、カメラマンから見た羽生三冠
が語られる。最後の第3章「記者が見た「天才」」は、各棋戦ごとの担当記者が、その棋戦
にまつわる羽生三冠のエピソードを紹介している。さらに、文庫版の最後は、小暮記者の解
説で締められ、非常に読み応えがある。

 第1章「羽生の考え」   
 第1章のメインは、羽生三冠のインタビューと、将棋上達講座の二つ。インタビューは、
2008年の竜王戦のことについて触れられていたり、のびのび語られている。印象に残
ったのは、「手を選ぶって、やっぱり怖いことですから。」という言葉。私もハムと指す
時に、どちらの手を選ぶかで悩んで困って選択するが、やはり指し手を決断する恐怖は、
強い人ほど感じるものなのだろう。ま、対ハム将棋と同じ土俵で語られても羽生三冠も困る
と思うが(笑)。
 将棋上達講座も読むと面白かった。一章の最後は羽生三冠のコラム。和服の原田九段と
向かいあう小学生の羽生少年、その将棋盤を囲むちびっこ達と、その様子を遠くから優し
く見守る奥さんという写真が掲載されており、古き良き風景を写していてとても美しい写
真だった。このコラムは、奨励会時代の自身の将棋について反省気味に語られている部分
もあって、「羽生さんにもそんな時代があったんだなあ」と、微笑ましい気持ちになった。 
 
 第2章「私と羽生」
 
 米長永世棋聖による羽生三冠の話。「羽生は勝利の女神と浮気をしている」は、米長
永世棋聖らしい洒落た言い回し。羽生三冠が将棋界のことをすごく真剣に考えていること
が伝わる話が多かった。
 中原十六世名人は、羽生三冠の強さを「受けが安定していること」と言っていた。ハッ
とさせられるような攻めの手のほうが注目されがちだが、受けが安定しているので結果を
残せているという。
 私がこの第2章で一番面白かったのは、西條記者と小暮記者の羽生三冠についての
討論。観戦記者の二人が羽生三冠の将棋をどういう風に見ているかがわかって面白かった。
特に、若い頃は相手を見て、ここをくすぐればこうなるというのが羽生三冠は分かっていた
という話、それに纏わる森内名人との名人戦の有名な局面の話(森内が羽生玉を詰ま
しにいったが詰まず、羽生はその局面が詰まないということを、数年前の研究会で現れて
いたため知っていた)が面白かった。島九段がいう羽生森内戦は情念の戦いという言葉が
思い浮かんだ。また、羽生三冠の人間性に関して知らないエピソードもいくつかあった。
「仲間なんです」は格好良すぎる。将棋界の人達惚れてまうやろ! って思った。

第3章「記者が見た「天才」」
 七大棋戦毎の羽生三冠のエピソード等が主。他に記録の紹介などがある。羽生三冠の
記録などについては知っていることが多かったのでここで特筆することはあまりない。
羽生三冠のことを知ったばかり、という人はかなり楽しく読めると思う。
 

 というわけで、羽生三冠について詳しく知りたいという方にはオススメできる本。
 ただし、羽生三冠本人の言葉は第1章しかないので、「羽生三冠の思考を堪能したい!」
とか、「羽生三冠本人が将棋について語っているものが読みたい」とかいう方にはどう
だろうなという感じ。


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第71期A級順位戦▲羽生-△屋敷(2012年10月19日)

第71期A級順位戦▲羽生-△屋敷(2012年10月19日)

順位戦のちょっとした感想


▲羽生三冠-△屋敷九段

 羽生二冠の先手番、屋敷九段が後手番で矢倉になった。屋敷九段が62手目で前例の
多い△2六銀成ではなく、△3八香と指した。この手の前例は二つで、直近は、▲橋本-
△羽生戦(竜王戦)で先手勝ち。その将棋の棋譜も見ていたけれど、ド素人の私見では、
後手も結構やれるように見えた。
 本局は、屋敷九段は同じ進行で新手を引っさげて挑んできた。それが△新手3九角。
香車と銀と角が縦一列に並んだ格好は凄いが、局後の羽生三冠の感想から観ると、後手の
新手は成立していたようで、先手はその前に変化する必要がありそうとのこと。△3九角
に、羽生三冠は▲4六金と上がったが、その後後手のほうがよくなる変化が多かったらしい。
羽生三冠の感想に、▲5八金という普通にありそうな手は挙がっていなかったけど、やっぱ
り駄目なのかな。
 新手以降後手良しの将棋だったが、屋敷九段の痛恨の錯覚で逆転。羽生三冠が冷静に
寄せた。
 これで羽生三冠は今期4勝0敗でA級19連勝、屋敷九段は2勝2敗。次の羽生佐藤戦
で、佐藤九段が羽生二冠の20連勝を阻止できるか、今期好調な二人の対決が楽しみだ。
屋敷九段は次は渡辺竜王戦。頑張ってほしい。
 今回の矢倉の新手で、△3八香と打つ将棋が増えるんでしょうか。先手の対策がどうなる
か、今後の展開が非常に楽しみ。

 感想戦の写真が中継ブログに掲載されていたが、笑顔も見れて和やかな雰囲気。終局後、
感想戦は2時間近く行われていたらしい。こういうのを見ると、将棋好きなんだなって
微笑ましくなるなあ。

 

一方の、▲深浦△橋本戦は、後手番の橋本七段の角交換四間。
先手の深浦九段が穴熊→銀冠に組む構想を見せる。中盤難しいかな? と思ったが、深浦
九段がリードを奪い、そのまま勝ちきった。
 橋本八段はA級4連敗。開幕4連敗は結構厳しい。A級1期目の橋本八段だが、A級の
洗礼を浴びている模様。頑張って欲しい。深浦九段は2勝2敗。意外なことに、今まで
A級に残留したことがないという深浦九段、今期はどうか。


A級順位戦も折り返し地点で、今期はどうなるか楽しみ。

テーマ : 将棋
ジャンル : ゲーム

第25期竜王戦第1局▲丸山-△渡辺(2012年10月15日)

第25期竜王戦第1局▲丸山九段-△渡辺竜王(2012年10月15日)


 2年連続挑戦を決めた丸山九段と、9連覇を目指す渡辺竜王との戦い。
 王座戦で羽生三冠に敗れ、タイトルを失冠した渡辺竜王ではあるが、今回はその
悔しさをこの竜王防衛のバネにして防衛するのではないかな、というのが開幕前のど素人
の見立てである。えっへん。読売新聞の戦前のインタビューを読んだが、渡辺竜王の勝ち
たいという気持ちが伝わってきた。
 一方の丸山九段は、どうか。丸山九段は謎の多い棋士。昨年の戦いを活かして、今年は
どんな戦いを見せてくれるのか……!
 と、もっともらしく書いたものの、羽生ファンの私としては、すごおおおく気楽に見られ
るタイトル戦で、このブログに書くようなこともあんまりないので、たぶん将棋観戦の感
想はざっくりな感じになると思われます。不真面目なブログだからショウガナイヨ。
丸山九段ファン、渡辺竜王ファンにはジャンピング土下座します。 
ぴょんずざああああああ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒` つ≡≡≡━━━━!! 許してね!
 二人とも好きだけど、どうしてもどっちが勝っても別にいいよね感が半端ないのだ。

 第1局は、振り駒で、丸山九段が先手番に。となると、戦型はもう決まったようなもの
で、丸山九段得意の角換わり腰掛銀へ進んだ。ただし、角換わり腰掛け銀は、後手番の
渡辺竜王にとっても十八番である。
 角換わりにも、同型、6五歩型と色々あるが、渡辺は後手が2三銀と早めに上がる形
にし、先手が▲2八角と打つ、最近タイトル戦などでもよく観る定跡になった。渡辺竜王
はこの形を、竜王戦が始まる直前にあった豊島七段との王将リーグで指している。その
時は渡辺竜王が後手番で、千日手となった。
 丸山九段が7五に打たれた歩を▲8五銀ではなく、▲7五同銀と取った手が新手で、
前例から離れた。丸山九段も当然前例は知っているはずで、どうなるのかなー? と
思っていたら、その後、後手の渡辺竜王の攻めが的確で、二日目昼になんと決着がつ
いてしまった。13時58分の決着は、竜王戦史上最速だそうである。いやはや。

 とにもかくにも、ど素人な私にとっては「えっ?」という感じ。角換わりで、研究が
失敗すると取り返しがつかなくかる感じなんだろうか。仕方ないといえば仕方ないのか
もしれない。
 感想戦も20分強で終わってしまったとのこと。もうね、NHK杯かと。
 しかも消費時間も丸山九段は6時間32分、渡辺竜王にいたっては4時間30分。
おま、4時間30分て1日制の王座戦より使ってないってどーいうことよwと、突っ込
みたくなってしまう。
 まあ、二日制の持ち時間の使い方なんてどう使おうが対局者の勝手で、外野がアレコレ
言うことでは全くないというのは分かっているのだが、1日目定跡通りにさーっと進んで
二日目大して時間使うこともなく終わられると、観る将棋ファンとしては、「ちょwww
wおまwwww」と、草を生やすしかなくなる。
 両者一生懸命やった結果だから、しょうがないんだけどねえ。

 第1局は、渡辺竜王の先勝。
 丸山九段は、次の後手番は一手損角換わりでしょうか。


 そうだ。加藤九段がニコ生で、2008年の竜王戦で羽生三冠が永世竜王を獲れなかった
件に触れていて、「羽生さんがどう思っているかは分からないけど、私はあの時羽生さんは
負けて幸せだったんじゃないかな」と仰っていたことが印象に残った。加藤九段が言うと、
そっかあ、って、胸にストンと落ちてくる。


 さてさて、次の第2局ですが、なんと、ニコ生では一日目に木村八段!
 さらに、二日目には羽生三冠が解説として来られるということ……!!!!!!
 すごすぎます。もしかしたら来るかなーと思っていたら、ガチで来た!これは必見!
 正直、どっちが勝つかより羽生三冠の解説に興味があると、PCの前の私が断言!
 ぴょんずざああああああ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒` つ≡≡≡━━━━!! 許してね!



テーマ : 将棋
ジャンル : ゲーム

将棋世界11月号

『将棋世界11月号』のいくつかの記事のちょこっと感想


 表紙は今月号も羽生三冠。いやー、しかし絶妙にかっこいい写真ですね。
扇子使いが絵になる棋士だ。

★「ガムでリフレッシュ対談VOL1 海堂尊×羽生善治二冠」
 謎の対談新連載が開始。第1回は、作家の海堂さんと羽生三冠。特筆する
ような話はそんなになかったのだが、羽生三冠が名人戦の対局について触れて
いる一文が面白かった。

★「「必然の逆転勝ち」はならず」
 王座戦第2局の観戦記。安定の大川記者観戦記。タイトルが洒落てカッコいい。
藤井九段の羽生三冠の作戦を見たときの感想や、渡辺竜王に対する取材で、非常に
読み応えがあった。渡辺竜王の角交換四間に対する考え方の一端が分かって面白い。
羽生三冠の指し手に対する渡辺竜王の素直な感想が微笑ましい。

★「感想戦後の感想 福崎文吾」
 福崎九段独特の語りが面白い。福崎九段の谷川評と羽生評は必見。

★「イメージと読みの将棋観」
 渡辺竜王の「鮮やかな創作問題だなー」と「それは奇跡です」がこのコーナーの
ハイライト。(笑)



将棋世界 2012年 11月号 [雑誌]将棋世界 2012年 11月号 [雑誌]
(2012/10/03)
不明

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テーマ : 将棋
ジャンル : ゲーム

将棋界との出会い

何で私が将棋界に興味を持ったか。という物凄くどうでもいい話。


 『ヒカルの碁』を読んで将棋のプロ棋士を目指した棋士に阿部光瑠四段がいる。
私もまさしくそれで、『ヒカルの碁』を読んで将棋界に興味を持ち始めた。


2010年冬『ヒカルの碁』を○年ぶりに読み返す。
    ↓
「やっぱ面白いなー。そういやアニメやってたな。」
『ヒカルの碁』動画を探し始める。
    ↓
偶然リアル囲碁界の動画を見つける。そういえば親戚の将棋界で、羽生っていう
七冠取った人いたよな。今どうなってんだろ? という興味本位で調べ始める。
未だに第1人者なことに驚愕する。
    ↓
たまたまやっていたNHKの竜王戦のドキュメンタリーを観る。
「羽生さんでも負けるんだー(驚」
益々将棋界に興味を持ちはじめ、関連書籍wikiなどを見て、将棋界の面白さを知る。
    ↓
そして将棋観戦へ……



 私の将棋観戦歴を振り返ろうとして書いてみたものの、中身が無い…!
上にどうでもいい!ひえー。

 当ブログを開設してからずっと、もっと格好いいブログタイトルはないものかと考え中。
うーん。難しい。

第60期王座戦第4局 ▲羽生-△渡辺 指し直し局(2012年10月3日)

第60期王座戦第4局 ▲羽生-△渡辺 指し直し局(2012年10月3日)


 凄いものを見ている。

 羽生二冠の△6六銀によって、千日手指し直しとなったときの興奮は言葉にできない
ものがあった。
 盤上のドラマ、対局者同士のドラマが心を動かす。心を揺さぶる。将棋ファンで良かった、
二人の将棋を同時代にリアルタイムで観ることができる幸せを、心底感じるひと時だった。

 指し直し局の持ち時間は、それぞれ渡辺王座1時間、羽生二冠1時間1分。先後入れ
変えで、先手は羽生二冠、後手は渡辺王座になる。

 初手▲7六歩。
 深夜、夜が溶け出したほの暗い部屋で、2度目の開戦を告げる駒音は、いつもと変わらず、
小さく涼やかだ。

 戦型は矢倉になった。ただし、第1局、第3局の後手急戦矢倉ではなく、持久戦の形に
なった。今期王座戦、羽生二冠は先手番では一貫して▲6八銀と上がり、矢倉を選択している。
何でも指す羽生二冠にしては珍しく徹底していた。それだけこの王座戦にかける気持ちを感じ
させた。
 両対局者の様子をニコ生で見ていたが、羽生二冠はいつもと変わらない様子でケロっとして
いた。先ほどの千日手局なんか無かったかのように、「朝9時です」という感じで初手を指し
ていた。一方の渡辺王座のほうも特に変わった様子は無かったものの、行方八段曰く疲れが見
えるとのこと。……うん、そりゃあそうですよね。

 将棋は43手目によく指されている△7三角ではなく、後手は8五の歩を突いた。渡辺王座
は矢倉△9五歩型をよく指している印象で、本局のように角を6四に置いたまま駒組みを進め
るのは珍しい気がする。
 先手は銀損の定跡を選び、後手玉に対して攻めを開始する。▲1四歩が羽生二冠の新手。その
後、5五にいた金を取り、△2七角に▲3三歩としたところで、先手の攻めが切れそうになく、
後手の駒を着実に取って迫り、先手優勢に。攻防手の▲6六桂で磐石の態勢か。
 後手も手筋の△6九銀を打つが、羽生二冠は無視して3四の銀を金でじっと取る。その後の
後手の攻めにも冷静に入手した銀を自陣に打ち、深夜2時に銀矢倉完成(笑)。こうなると
攻める気力も無くなるところだが、渡辺王座は投げなかった。負ければタイトルを失う。そう
簡単に投げられる訳はないし、投げる人でもない。ニコ生で将棋中継が開始されてからという
もの、タイトル戦の終局の様子を何度か見ている。敗勢でも気力を振り絞って指し続け、猶
届かずに頭を下げる棋士の姿は、見てはいけないものを見てしまったような、切ない気持ちに
させられる。

 後手の抵抗にも、羽生二冠はゆっくりと後手玉に迫っていく。
2二へと打った金が、後手の銀を二枚取った後、6三へきて角と交換になった。ものすごい
働きである。手にした角を△5一角と打ち、後手玉をスマートに寄せた。
 指し直し局は、147手で終局。羽生二冠の勝ちとなった。



 第60期王座戦も、この第4局をもって、羽生二冠が3勝1敗で奪取となり、幕を閉じた。
今期王座戦は、昨年20連覇を阻まれた羽生二冠が挑戦者として勝ちあがってきてのリベンジ
マッチだった。棋界最高峰の二人の対決と謳われた王座戦は、第1局から第4局までを通して
羽生二冠が局面をリードしている場面が多かったと思う。また、今年の羽生二冠の力戦でねじ
伏せる戦い方には、王座に懸ける気持ちを強く感じた。
 羽生二冠は王座を奪還して三冠復帰。奪取後のインタビューで、「40代で三冠を取れると
は思っていなかった」という話が載っていたが、この人はどんだけ冷静に自分を見ているんだ
ろうと驚く。記録としては、大山十五世名人の持つ同一タイトル獲得記録と並んだことになるが、
この人はこれに慢心することなく、これからも厳しい戦いを淡々とこなしていくのだろう。
 敗れた渡辺王座は、竜王の防衛戦が控えている。初失冠とのことだが、タイトルを持ってい
る限り、どんな強者でもいつかはそれを失う時はくるはず。今まで失冠しなかったことは凄い
が、渡辺王座ならばこの敗戦を糧に更に強くなるんじゃないでしょうか。



「羽生-渡辺戦」

 今後、羽生二冠のほうが年齢的に不利な戦いを強いられるだろうが、今期王座戦で新たな
アプローチをしてみせたように、様々なアプローチで戦っていくのだろう。
将棋を観る誰もが心を躍らせる熱戦を見せてくれるこのカードが、この先少しでも長く、
緊張感のある素晴らしい戦いを見せてくれることを楽しみにしていきたい。
 二人の戦いがどうなっていくのか。
「宿命」だの「運命」だのという言葉を超えるような、想像を超える現実が待っているはずだ。


 

テーマ : 将棋
ジャンル : ゲーム

第60期王座戦第4局 ▲渡辺-△羽生 千日手局(2012年10月3日)

第60期王座戦第4局 ▲渡辺-△羽生 千日手局(2012年10月3日)


「渡辺さんは普通に強い。研究がしっかりしていてねじりあいも強く、終盤も手がよく
見える。隙を見つけるのが難しい相手です。そんな相手に対して、自分なりにどう頑張
っていくか、ですね。」(『日本経済新聞』2012年、8月26日)

 羽生二冠が、戦前の日経新聞の特集記事で述べていたことだ。
 「渡辺王座とどう戦うのか」
 今期の王座戦の羽生二冠の戦い方は、このテーマがはっきりとしていた。盤上の真理
の追求と勝負への執着。プロの将棋は、この2つが比重はともかく共存している。今期
王座戦の羽生二冠は、渡辺王座とどう戦うかを最大のテーマとして、後者の比重のほう
が大きかったような気が、私はしている。少なくとも、今までの対渡辺戦とは、羽生二
冠が戦い方を変えてきていた。
「渡辺王座とどう戦うのか」
 第60期王座戦で、この答えは出たのだろうか。
 
晩夏に始まった番勝負は、いつの間にか朝の空気が冷たさを増す季節に、終盤を迎えた。

 午前9時、第60期王座戦第4局が熱い緊迫感を内包し、静かに始まった。
 後手番の羽生二冠の戦型が注目された本局、私は戦前の予想が全くつかなかった。
居飛車、振り飛車、どの戦型もありえて、さっぱり分からない。ここまで戦型の予想が
できないタイトル戦は久々な気がする。多彩な戦型を指しこなす羽生二冠が何を選ぶの
か……。
 渡辺王座の初手を見届けた後、胸を高鳴らせながら羽生二冠の指し手を待った。
 初手を写すシャッター音が一段落し、対局室に僅かな静寂が戻る中、羽生二冠は澄ま
した顔で、8二に呑気に佇んでいた飛車を手にし、3二へと美しい所作で舞わせた。
渡辺王座はこの一連の動作を、しっかりと目で追った。3手目を指すまでの時間が、
羽生二冠の手が予想外であったことを物語っている。
 いち観戦者である私も、この2手目には度肝を抜かれた、といっても過言ではないく
らいには驚いた。あんまり驚くと、笑いがこみ上げてくるもので、2手目3二飛車を
見た私は、朝から爆笑。1秒も考えてなかった手を指され、羽生二冠のことが益々すき
になる。まったく、やってくれます。
 羽生二冠がタイトル戦で2手目3二飛車戦法を指すのは、2008年の深浦九段との
第49期王位戦第2局以来である。丁度手元にあった『将棋世界』に深浦先生の自選記
が載っていた。当時、この手を指された深浦九段は、「羽生さんは一分の考慮で△3二
飛を指した。対局場の空気がどよめき、私は「うまいな」と心の中で思った。」(『将
棋世界10月号』第72巻、第10号、2008年10月1日)と、述べている。
 本局でこの手が指されたとき、対局場は、皆一様に心の動揺を表に出さないようにと
する不自然な沈黙があった。対してニコ生の視聴者は大盛り上がりしていたのだがw
 あ、うっかり2手目の感想に13行も費やしてしまった。これからが大変な将棋なの
に。

 意表の2手目3二飛車から、渡辺王座は玉の囲いを穴熊ではなく、天守閣美濃に囲う。
普通の振り飛車では後手の角道が止まっているため穴熊に囲いやすいが、本局は角道が
開いているために穴熊には組みにくかったようである。一方羽生二冠は、高美濃囲い
にして、開いていた角道を自分から止めた。居飛車に穴熊に組ませなかったことで、良
しと見たのだろうか。局面は、急に昭和の戦いに移行していった。(もっとも、私は昭
和の将棋はあまり知らないので逆に新鮮さを感じたのだが)森内名人曰く、羽生谷川の
竜王戦で、羽生が初失冠したときと同じ将棋になったらしい。これは、羽生二冠は勿論、
渡辺王座も知っているのだろう。
 この辺の序盤の流れは、形勢はともかく、羽生二冠がうまく指していたように見えた。
 だが、50手目△4四銀が危険に見える手。先手は▲7五歩と攻めていく。これは後
手大丈夫か? と思ったところで、▲7七銀に、△4六歩と先手の角道を遮断した。こ
の△4六歩という手は、ど素人のイメージと読みの将棋観から見ても好手な気がした。
この手以降、形勢が揺れ動く中も、やや後手が指せそうな感じになる。

 羽生二冠の使えていなかった左桂が、後半になってポンポン飛んできたのには笑った。
いきなり活躍しだす桂馬。やるねえ。詰めろの△4六角に、▲8九金打ちで受けた辺り
は、後手良さそう。この後、控え室では香車を拾う△1九角成が推奨されていたが、
羽生二冠は△6九桂成と攻めてきた。さっきまで3三にいた桂馬がここまできたのには
驚きだが、どうもこの手は攻め急ぎすぎだったように思う。先手玉が意外に固く、形勢
は混沌~先手優勢にまで傾き始めた。△7一金打ちという犠打での千日手の変化も検討
陣から出てきて、羽生二冠が何を指すのかと固唾を呑んで見守っている中、その手は
指された。

△6六銀

 観戦者も、プロ棋士も、渡辺王座も驚いた一手。
 歩の頭に銀を捨てる一手で、これが詰めろ逃れの詰めろ。
 なんかもう、こういう手が思いつくからタイトル82個も取るんですね。と、ひたすら
感動させられる。
 これ以降、なんと、千日手になってしまった。物凄い勝負である。
 たぶん渡辺王座は△6六銀打たれる前は勝ちになったと思っていたのではないかと。そ
れを短い持ち時間の中△6六銀などという手を指されて千日手にさせられては……たまっ
たものではない。(苦笑)
 なお、△6六銀打ちの後、▲同歩ではなく▲7八銀上だったら先手良しだったか? とい
う話もある。詳しくは詳報を待つしかない。ただ、▲7八銀上で分からなかったとしても、
△6六銀という指し手の価値は変わらないと思う。

 指し直し局は30分の休憩を挟んで22時39分開始。千日手は若手有利という説も
一部の筋では囁かれているが果たしてどうなるか……。朝9時から始まった激闘は、
深夜に決着を迎える。




(指しなおし局へ続く)


テーマ : 将棋
ジャンル : ゲーム

第60期王座戦第3局 ▲羽生-△渡辺(2012年9月19日)

第60期王座戦第3局 ▲羽生-△渡辺(2012年9月19日)


!いまさら第3局の感想!


「急戦矢倉の▲2五歩以下の局面は、今後も現れる可能性は高そうで、どのような戦いにな
るか楽しみだ。」


 私が、第1局の感想の閉めとして書いた文章だ。この言葉は、将棋界全体を指したもので、
羽生渡辺戦に限ったものではなかったのだが、なんとこの第3局で、この局面が再び現れる
ことになった。
 第1局は、羽生二冠のほうが途中まで良かったので、手を変えるとしたら渡辺王座のほう。
前局は、飛車の引き場所が△8五だったが、今回は△8二まで引いて、雁木に組んできた。
渡辺王座の予定の作戦だったそうである。その後、△6五歩と開戦したところまでは、渡辺
王座の想定の範囲内だったのかもしれない。
 渡辺王座の△6五歩に、羽生二冠は4分で同歩と、銀桂交換の駒損を受け入れる決断をし
た。もっと考えるだろうと思っていたところで手が動いたので驚いた。渡辺王座も局後の
感想で、これには驚いたと話していた。その後の展開が見えていたとしても、この早い段階
で後手の桂馬を綺麗に捌かせて、駒損を受け入れるのはやりにくいと思うのだが、羽生二冠
は「駒損? そんなの関係NEEE!!」と行くことが多い。先入観の無い自由な羽生将棋
らしい。
 さて、銀桂交換で後手の駒得になったものの、まとめ方が難しい将棋になった。まず角の
使い方が難しい。△1四歩は、先手の▲1五桂を防ぎ、角の活用を図る自然な手。大して羽生
二冠は、▲3七桂と跳ねる前に、▲2四歩を入れ、角のぶつけを防ぐ。▲1六桂と置くと、す
ぐに跳べなくても攻めの態勢が取り易い。その後、攻めずに▲8八玉と入るのも絶妙の間合い
である。
 その後、左の桂馬も跳ねて左右挟撃の態勢を作り上げ、将棋は羽生二冠の快勝へ。
 これで王座戦五番勝負は、羽生二冠の2勝1敗と奪還に王手。
 本局の急戦矢倉の▲2五歩以下の局面は、今後も現れる可能性は高そうで、どのような戦い
になるか楽しみだ。





だいぶアップするのが遅くなってしまったー。
どうも羽生二冠が勝つと筆がすすまないと判明。
記憶が曖昧なので後半がテキトーに。


テーマ : 将棋
ジャンル : ゲーム

プロフィール

亀井

Author:亀井
▲将棋観戦好きの人間
△ハム将棋<私<<<将皇
▲羽生先生を大体応援してる
△羽生世代を大体応援してる
▲佐々木勇気四段面白い
△眼鏡好きには将棋界は天国
▲将棋界ファン
△日々もっと良いブログタイトル
 がないか考え中

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